福利厚生としての社員食堂とは?メリット、導入のポイントを解説

福利厚生としての社員食堂とは?メリット、導入のポイントを解説
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福利厚生としての社員食堂とは?メリット、導入のポイントを解説

社員食堂は、従業員の食事を支援する福利厚生施策のひとつです。設置には一定のコストと準備が必要ですが、採用力の強化や従業員の健康増進など、さまざまなメリットが期待できます。最近では、食事補助にまつわる税制が42年ぶりに改正され、福利厚生費として認められる企業負担額の上限が引き上げられたことで、社員食堂をはじめとする食事補助への関心が高まっています。

この記事では、社員食堂を福利厚生として導入するメリットや経費計上するための条件、導入のポイント、運営方式について解説していきましょう。また、社員食堂を導入したいが、自社の規模やオフィス環境では難しいという企業向けに、社員食堂以外の食事補助の方法もご紹介します。

目次

福利厚生として社員食堂を導入するメリット

社員食堂の導入は、企業側と従業員側の双方にメリットをもたらします。ここでは、それぞれの立場から見た主なメリットをご紹介します。

企業側のメリット

社員食堂の導入がもたらす企業側のメリットは以下のとおりです。

  • 企業のイメージアップや従業員エンゲージメントの向上
    福利厚生の充実は、企業のイメージアップにつながります。特に、採用面での差別化が難しい中小企業においては、社員食堂のような手厚い食事支援が「従業員を大切にする企業姿勢」の表れとなり、採用時のアピール材料になるほか、従業員のエンゲージメント向上の効果も期待できるでしょう。
  • 社内コミュニケーションの活性化
    食事の場における従業員同士のコミュニケーションは、部署を超えた組織の一体感を醸成する効果もあります。普段は接点の少ない部署のメンバー同士が、社員食堂で食事をともにすることで社内のつながりが生まれ、業務上の連携が円滑になるケースも少なくありません。こうしたコミュニケーションの場は、職場全体の雰囲気を良くし、生産性の向上にも貢献する可能性があります。

従業員側のメリット

社員食堂の導入がもたらす従業員側のメリットは以下のとおりです。

  • 家計負担の軽減
    社員食堂では、一般的な飲食店と比べて安価に食事をとることができます。毎日の食事代を抑えられることは、従業員の家計に対する大きな助けとなります。
  • 「ランチ難民」の解消
    周辺に飲食店が少ない郊外の事業所や、昼食時の混雑が激しい都市部のオフィスにおいては、昼休みのあいだに十分な食事がとれない、いわゆる「ランチ難民」になる従業員も少なくありません。社員食堂の設置によって、こうした状況を防ぐことが期待できます。
  • 生活習慣の改善
    栄養士が監修した栄養バランスの良い食事を社員食堂で提供することで、従業員の生活習慣の改善につなげられます。忙しさからインスタント食品や偏った食事に頼りがちな従業員も、手軽に栄養バランスを整えられるようになり、自然と健康意識が向上します。従業員の健康増進は、医療費の抑制や生産性の向上にも寄与するため、企業経営の観点からも重要なテーマです。

社員食堂にかかる費用は経費計上できる?

社員食堂で提供する食事代は、以下の条件をすべて満たせば、非課税の福利厚生費として計上することが可能です。

<社員食堂にかかる費用を経費計上するための条件>

  • 社員食堂が全従業員を対象としていること
  • 食事代が社会通念上妥当であること
  • 従業員が食事の価額(食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額)の半分以上を自己負担していること
  • 食事の価額から従業員が自己負担した金額を差し引いた金額が、月額7,500円(税抜)以下であること

これらの条件を満たす場合、企業負担分は福利厚生費として損金算入でき、従業員にとっても企業負担分については給与課税されません。一方、条件を満たさない場合には、企業負担分が従業員への給与とみなされ、所得税や住民税の課税対象となる点に注意が必要です。

なお、この企業負担分の上限額は、2026年の税制改正によって42年ぶりに引き上げられた金額です。それまでは、1984年当時の物価を基準に「月額3,500円」が長年にわたって適用されてきましたが、昨今の物価上昇やランチ相場の変化を踏まえ、現行の「月額7,500円」へと大幅に見直されました。この改正により、企業はより充実した食事補助を提供しやすい環境が整ったといえます。

▶福利厚生費については以下の記事もご参照下さい

福利厚生として社員食堂を導入する際のポイント

社員食堂を継続的に活用してもらえるようにするためには、導入時の工夫が欠かせません。ここでは、主なポイントを5つ解説します。

割安感やクオリティを担保する

社員食堂の味に満足できなかったり、メニューがほとんど変わらなかったりすると、従業員は近隣の飲食店やコンビニエンスストアを選ぶようになってしまいます。また、周辺の飲食店と比べて、価格面でのメリットを感じられなければ、利用率の向上は見込めないでしょう。

社員食堂の基本的な価値は「安くておいしい食事」を提供することにあります。献立の多様化や食材の質にこだわることで、従業員の満足度を高め、継続的な利用を促せます。併せて、周辺相場と比較して、リーズナブルな価格設定をすることも重要です。

定期的にニーズを把握する

従業員アンケートを定期的に行い、価格やメニューなどへのニーズをモニタリングしながら改善を続けることも、社員食堂の利用促進のためには重要です。何に不満を感じているのか、どのような食事を望んでいるのかを定量・定性の両面から把握することで、より利用されやすい社員食堂へと改善していけるでしょう

従業員のニーズは年齢や職種、ライフスタイルによっても異なります。特定の層だけに偏ることなく、多様な従業員が満足できる社員食堂を目指すためにも、幅広い意見を継続的に集める仕組みを整えることが大切です。

飽きさせない工夫をする

毎日社員食堂に行っても飽きさせない工夫をすることも、社員食堂を形骸化させないためのポイントのひとつです。

例えば、日替わりや週替わりのメニューを用意するほか、旬の食材を使った「季節メニュー」、健康志向に応える「ヘルシーフェア」などの企画を定期的に実施することも、有効な施策といえるでしょう。

空間設計にもこだわる

カフェのような内装や、居心地の良さを感じさせるインテリアを取り入れて、社員食堂を「また来たくなる場所」としての空間にすることも大切なポイントです。採光や色彩、BGMなどの環境面を整えることで、食事の時間がリフレッシュの場としても機能するようになります。

社員食堂の価値を従業員に周知する

社員食堂を「あって当たり前」の施設にしないためには、その価値を積極的に従業員に周知することが大切です。その結果、利用率が高まり、費用対効果の向上も期待できます。

定期的に社員食堂に関する情報をアナウンスするなど、従業員への周知活動を続けるようにしましょう。従業員が「利用するとメリットがある」「会社が自分たちの健康や働きやすさを大切にしている」と実感できる情報発信を心掛けることが、利用促進のカギとなります。

社員食堂の運営方式

社員食堂の運営方式には、「直営方式」「準直営方式」「外部委託」の3タイプがあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

直営方式

直営方式は、企業が自社でスタッフを雇用し、直接社員食堂の運営を行う形態です。

直営方式のメリットは、従業員のニーズをスピーディーに取り入れやすい点と、運営が社内で完結する点です。献立や価格設定を柔軟に変更できるため、従業員の声を反映したメニュー構成やサービス改善を進めやすくなります。また、運営方針を自社でコントロールできるため、企業文化や方針に沿った食堂づくりがしやすいこともメリットといえます。

一方、デメリットは、人件費や設備維持費などの運営コストが大きくなりやすい点に加え、調理・衛生管理といった運営ノウハウを社内に確保する必要がある点です。専門スタッフの採用・育成、法令に沿った衛生管理体制の整備にも、一定のコストと時間が求められるでしょう。

準直営方式

準直営方式は、社員食堂の運営を専門とする子会社または関連会社を新たに設立し、そこに運営を委託する形態です。

運営や管理を子会社側に一任しながらも、親会社として方針面で関与しやすい点が準直営方式のメリットです。企業方針に沿ったサービスを維持しながら、社員食堂の運営に関する専門性も確保しやすくなります。

デメリットは、子会社を設立・維持するためのコストや手間がかかる点です。一定以上の事業規模の企業でなければ、この形態の採用が難しい場合もあるでしょう。

外部委託

外部委託は、社員食堂の運営を専門業者に委託する方式です。

外部委託のメリットは、委託先が持つノウハウを活かした安定的なサービスを提供してもらえる点です。調理や衛生管理・献立設計などを任せられるため、企業側の負担を大きく軽減できます。

一方、外部委託のデメリットとして、従業員のニーズの反映や細かな変更への対応が難しかったり、対応に時間がかかったりする場合がある点が挙げられます。委託先との定期的なコミュニケーションを通じて、サービス品質を維持・向上させていくことが大切です。

社員食堂の導入が難しい場合の選択肢

社員食堂を導入するには、導入コストに加え、十分なスペースの確保も必要になります。そのため、「導入したいが、自社の規模やオフィス環境では難しい」という企業も少なくありません。

しかし、社員食堂以外にも、従業員に対する食事補助の方法はあります。ここでは、代表的な3つの食事補助の種類をご紹介しましょう。

設置型

設置型は、オフィス内に専用の棚や冷蔵庫を設置し、そこに食事補助の対象となる弁当、惣菜などを常備しておく方式です。従業員は勤務時間内の好きなタイミングで利用できるため、昼食だけでなく、残業時や夜間勤務時の軽食などにも対応できます。省スペースかつ比較的低コストで導入できる点が特徴です。

また、取り扱う商品の種類や価格帯を柔軟に設定できるため、従業員のニーズに合わせたラインナップを用意することも可能です。キャッシュレス決済や専用アプリケーションなどと連動した在庫管理システムの活用により、精算、補充の手間を抑えることもできます。社員食堂に比べてシンプルな仕組みながら、手軽に食事支援を始めたい企業に向いている方法といえるでしょう。

デリバリー型

デリバリー型は、ランチタイムなどに弁当や惣菜をオフィスに配達してもらう方式です。従業員はオフィスから移動することなく食事がとれるため、外出が難しい状況でも昼食を確保しやすくなります。

サービスによって、さまざまなメニューや価格帯から料理を選べるため、従業員の好みに応じた多様な選択肢を提供できます。また、複数のサービスを活用して選択肢を広げるのもいいでしょう。社員食堂の整備が難しいオフィスや、拠点数が多い企業でも比較的スムーズに導入可能です。

チケット型

チケット型は、従業員に食事チケットや専用カードを支給し、提携する飲食店、コンビニエンスストアなどで利用してもらう方式です。企業が費用の一部を補助するため、幅広いジャンルの飲食店をリーズナブルに利用できます。また、従業員の多様な食の好みに対応しやすい点もメリットです。

企業側にとっては、設備投資が不要で、チケットの支給額や回数を調整することでコストをコントロールしやすい点が魅力です。社員食堂の設置が難しいオフィスや、小規模な事業所でも手軽に導入できる施策として注目されています。

例えば、株式会社miiveの福利厚生サービスプラットフォーム「miive(ミーブ)」が提供する「miive食事補助プラン」は、定食屋、弁当屋、スーパーなど全国のVisa加盟店で利用可能です。また、スマートフォンアプリとカードによる運用で使いやすいのも特徴です。管理者の負担も軽減するようなさまざまな機能が搭載されているので、安心して導入できるでしょう。

まとめ

  • 社員食堂の導入は、企業側には、イメージアップや定着率向上、社内コミュニケーション活性化などをもたらす。従業員側には、食費負担の軽減、ランチ難民の解消、生活習慣の改善といったメリットがある
  • 社員食堂の食事代は、全従業員が対象、従業員が半額以上自己負担、企業負担額が月額7,500円以下などの条件を満たせば、非課税の福利厚生費として経費計上できる
  • 社員食堂を継続的に活用してもらうためには、割安で高品質な食事の提供、定期的なニーズ把握、飽きさせない工夫、快適な空間設計、価値の社内周知がポイントとなる
  • 社員食堂の運営方式には、「直営方式」「準直営方式」「外部委託」の3種類がある
  • 社員食堂の導入が難しい場合は、オフィス内に食品を常備する「設置型」、弁当を配達する「デリバリー型」、提携店で使える「チケット型」の3つが代替手段として活用できる
監修
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渋田貴正(しぶた たかまさ) 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士の4つの資格を保有。上級相続診断士®。富山県生まれ。東京大学経済学部卒。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年に独立し、司法書士事務所開設。
税理士登録後、税理士法人V-Spiritsグループの創設メンバーとして参画。著書に『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’22~’23年版』(成美堂出版)がある。

    
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