福利厚生の食事補助(ランチ補助)とは?42年ぶりの税制改正で注目

福利厚生の食事補助(ランチ補助)とは?42年ぶりの税制改正で注目
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福利厚生の食事補助(ランチ補助)とは?42年ぶりの税制改正で注目

食事補助(ランチ補助)は、企業が従業員のランチ代などの食費を一部負担する福利厚生です。食事補助が給与として課税されない要件のひとつに企業負担額がありますが、税制改正によって42年ぶりにこの金額が引き上げられたこともあり、注目を集めるトピックになっています。

この記事では、食事補助のメリットや種類、導入する際の注意点を解説します。さらに、食事補助が給与として課税されない、つまり福利厚生費として認められるための要件についても紹介しましょう。

目次

福利厚生で食事補助を導入するメリット

従業員満足度の向上、生産性の向上、企業のイメージアップ

食事補助の導入は、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介しましょう。

従業員満足度の向上

食事補助を導入すると、従業員満足度の向上が期待できます。食事補助は、従業員にとって、実質的な手取りアップとなります。特に、賃上げが物価高に追いつきにくい昨今では、多くの従業員がその効果を実感しやすいでしょう。

住宅手当や家族手当は特定の条件を満たす人にしか適用されませんが、食事補助は多くの従業員が公平に活用しやすい福利厚生となっています。企業が日々の生活をサポートしてくれているという実感は、従業員エンゲージメントを高め、優秀な人材の定着率向上や離職防止にもつながります。

生産性の向上

食事補助を通じて、栄養バランスの良い食事がとりやすくなれば、従業員の体調維持や生活習慣病の予防にもつながります。結果として、欠勤率の低下や業務効率の向上など、組織全体の生産性アップも期待できます。

また、食事を十分にとらないことでパフォーマンスが下がる「欠食問題」への対応としても有効です。食事補助は、従業員の健康を幅広く支える制度として活用できるでしょう。

企業のイメージアップ

手厚い食事補助は、「従業員の生活や健康を大切にしている」という社内外へのメッセージになります。近年は、従業員の健康管理を経営課題として捉える「健康経営」の観点から、食への投資を重視する企業が増えており、食事補助はその取り組みをアピールする手段としても有効です。

また、求職者にとっても魅力的な条件となるため、採用競争力の強化にもつながるでしょう。

▶健康経営については以下の記事もご参照下さい

食事補助の種類

食事補助には、「チケット型」「設置型」「デリバリー型」「社員食堂」といった種類があります。自社の環境や従業員の働き方に合ったものを選ぶことが大切です。

■食事補助の種類の比較表

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タイプ 概要 導入のしやすさ 向いている企業・職場環境
チケット型 提携する飲食店やコンビニなどで利用できる食事チケット・専用カードを配布する方式 リモートワークを導入している企業や、外回り・出張の従業員が多い職場、休憩時間中にオフィスの外で食事をすることが多い職場
設置型 オフィス内にある専用の冷蔵庫やラックに弁当・惣菜などを常備する方式 勤務時間が不規則な職場や、夜勤などがある現場
デリバリー型 決まった時間にオフィスへ弁当・惣菜を届けてもらう方式 従業員の健康管理に注力したい企業や、周辺に飲食店が少ない職場
社員食堂 企業内に常設された食堂施設 従業員数が多く、十分な予算と食堂用スペースを確保できる大企業

※導入のしやすさは一般的な傾向であり、企業規模、拠点数、従業員の働き方、運用体制によって異なります。

チケット型

チケット型の食事補助とは、従業員に食事チケットや専用カードを配布し、提携する飲食店やコンビニエンスストアなどで利用してもらう方式です。外回りや出張が多い営業担当者、リモートワークをしている従業員など、働く場所がさまざまなケースでも、公平に食事補助を受けられる点が特徴です。その日の気分で店舗やメニューを選べるため、幅広いニーズにも対応しやすい方法といえます。ただし、チケット型の場合、勤務中の食事の提供・購入に使途が限定されていることが重要です。

食事補助に対応したサービスの一例として、株式会社miiveの「miive食事補助プラン」があります。このサービスは、全国のVisa加盟店で利用できる仕組みが特徴です。カードとスマートフォンアプリを組み合わせた運用のしやすさが特徴で、企業側の管理負担を軽減する機能が充実しています。

設置型

設置型の食事補助は、オフィス内にある専用の冷蔵庫やラックに常備されている、食事補助の対象となる弁当や惣菜などを、従業員が好きなタイミングで利用できる方式です。勤務時間が不規則な職場や夜勤のある現場、ランチのタイミングがばらばらな環境でも導入しやすい点が強みといえます。

キャッシュレス決済に対応したサービスも多く、小銭がなくても手軽に購入できる点も魅力です。また、商品補充や在庫管理を専門業者に任せられるサービスを利用すれば、自社での管理負担を抑えることができます。

デリバリー型

デリバリー型の食事補助とは、外部の宅配弁当業者などと契約を結び、決まった時間にオフィスへ弁当や惣菜を届けてもらう方式です。

保存料を抑えた健康的なメニューを選べば、食生活が偏りがちな従業員の健康管理にも役立ちます。また、周辺に飲食店がないオフィスへの導入にもおすすめです。

社員食堂

社員食堂とは、企業内に常設された食堂施設です。従業員の健康維持や社内コミュニケーションの活性化に貢献できる点がメリットです。導入・運営コストは、ほかの食事補助の方式と比べて高額となるので、従業員数が多く、十分な予算と食堂用スペースを確保できる規模の大きな企業向けの方式といえます。

▶社員食堂については以下の記事もご参照下さい

食事補助が福利厚生費として認められるための要件

食事補助が福利厚生費として認められ、企業の収益から差し引くことができる損金算入が可能になるためには、以下の5つの要件を満たす必要があります。

<食事補助が福利厚生費として認められるための要件>

  • 食事補助が全従業員(※)を対象としていること
  • 食事補助の金額が社会通念上妥当であること
  • 食事補助が現金支給ではないこと
  • 従業員が食事代の半分以上を自己負担していること
  • 企業負担分が月額7,500円(税抜)以下であること

※所定労働時間が一定以下のパートタイマーなどは対象外

特に注目すべきは、企業負担分の上限額です。これまでは、1984年当時の物価をもとに40年以上「3,500円」と定められていました。しかし、物価上昇やランチ代の変化を受け、2026年の税制改正で「7,500円」と大幅に引き上げられました。金額の引き上げにより、企業はより手厚い食事補助を、従業員に提供しやすくなるでしょう。

※国税庁「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて

食事補助を導入する際の注意点

食事補助の導入にあたっては、いくつかの点に気をつける必要があります。効果を最大化するためにも、これから紹介する注意点を確認しておきましょう。

従業員が公平に使えるようにする

食事補助を導入する際は、食事補助の対象となるすべての従業員が、できる限り公平に利用できる仕組みを整えることが重要です。内勤や外勤、リモートワークなど、働き方・勤務地を問わず食事補助を利用できるようにすれば、従業員同士の不公平感をなくすことにつながります

例えば、設置型の食事補助を導入する場合、どの従業員も利用しやすいように設置場所を工夫したり、事務所ごとにサービスを導入したりする配慮が大切です。社員食堂のように特定の拠点でしか利用できない制度を導入する場合は、チケット型やデリバリー型の食事補助を併用するなど、利用できない従業員への代替手段を設けることも検討する必要があります。また、健康上の理由による食事制限や夜勤・シフト勤務など、多様なニーズにも対応できる仕組みづくりも心掛けましょう。

従業員のニーズをヒアリングする

食事補助を導入する前に、ヒアリングやアンケートで従業員のニーズを確認することも大切です。希望する食事のスタイルや、自己負担として許容できる金額感などを把握すれば、実情に合った食事補助の内容にできます

従業員の働き方やオフィス周辺の環境(近隣の飲食店やコンビニエンスストアの有無など)と合わない内容では、せっかく制度を整えても利用率は上がりにくいでしょう。また、コミュニケーションが不足している、不健康な食生活を送っている従業員が多いなど、自社が抱えている課題の解決が期待できるサービスを選ぶことも大切です。

社内周知をきちんと行う

食事補助を導入したら、制度の目的や具体的な利用方法、精算フローなどを、社内に向けてわかりやすく告知し、誰でもスムーズに利用できる環境を整えましょう

一部の従業員だけが利用している状況が続くと、制度の形骸化につながりかねません。全社アナウンスや利用事例の共有を定期的に行い、制度の存在が十分に周知されるようにすることが大切です。

定期的に改善を行う

食事補助は導入して終わりではありません。利用状況のデータやアンケートをもとに、満足度を定期的に確認し、必要に応じて改善していきましょう。

また、物価の変動や従業員数の増減、リモートワークの拡大など、企業を取り巻く環境は変化します。こうした変化に柔軟に対応しながら、継続的にブラッシュアップしていくことが、食事補助を中長期的に機能させるためのカギとなります。

まとめ

  • 食事補助の導入により、従業員満足度や生産性の向上、企業のイメージアップといったメリットが期待できる
  • 食事補助には「チケット型」「設置型」「デリバリー型」「社員食堂」の4種類があり、自社の環境や従業員の働き方に合ったものを選ぶことが大切である
  • 食事補助を給与課税されない形で導入するにはいくつかの要件を満たす必要がある。特に、2026年の税制改正で、企業負担分の上限額が月額3,500円から7,500円(ともに税抜)へと引き上げられた点に注目が集まっている
  • 食事補助を導入する際は、全従業員が公平に利用できる仕組みの整備、事前のニーズヒアリング、丁寧な社内周知、定期的な改善といった点に注意する必要がある
監修
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渋田貴正(しぶた たかまさ) 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士の4つの資格を保有。上級相続診断士®。富山県生まれ。東京大学経済学部卒。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年に独立し、司法書士事務所開設。
税理士登録後、税理士法人V-Spiritsグループの創設メンバーとして参画。著書に『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’22~’23年版』(成美堂出版)がある。

    
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